<写真左>青山 輝久(あおやま てるひさ):3Million Poker Club創設者の一人。キャッシュゲーム専門のプロポーカープレイヤー。彼からの薫陶を受けて成長したプレイヤーも多数。3Million Poker Clubでコーチングも担当している。 |
<写真右>葛谷 大志(くずや たいし):3Million Poker Club創設者の一人で、ポーカーのコーチングも担当。キャッシュゲーム専門のプロポーカープレイヤー。また、「KuZ」という名前で、SNSへ自身の経験や Pokerの上達方法も発信している。 |
3Million Poker Clubとは:ポーカーの初心者から上級者までを対象にした、ポーカーコンテンツのサブスクリプションサービス。上達に必要な情報や動画などを提供している。 3Million Poker Club |
日本有数のポーカーコンテンツのサブスクリプションサービス、「3Million Poker Club」を創設したポーカープレイヤーの青山氏と葛谷氏。今回はそんなお二人に、3MPCを作ったきっかけからポーカープレイヤーとしてのバックグラウンド、ポーカーに対する想いや強くなるための秘訣まで様々なことを伺いました。
ーまずは3MPCを作ったきっかけを教えて頂けますか?
葛谷:きっかけは今でも覚えているんですけど、青山と鶴橋の銭湯に行った時に「何か人に喜ばれることをしたい」と話したのが始まりですね。ポーカーって基本的には相手のチップを奪うゲームじゃないですか。そういうことばかりしてると、感謝が生まれないなと感じていて。
青山:他にもいくつかアイディアは考えたのですが、やっぱり私たちが精通していることと言えばポーカーなので、自然とポーカーを教えるようなサービスが出来ないかと考えるようになりました。
ー3MPCのスタートは、どのような感じだったのでしょうか?
葛谷:正直に言って、スタートした時は「大成功だな」と思いました。スタートダッシュとしては予想以上に良かったです。
青山:最初から100人以上の方にこのサービスを使ってもらいましたね。認知度はそんなになかったと思うのですが、たくさんの方にアクセスしていただけました。
ーその成功の理由は何だと思いますか?
葛谷:3MPCを作る前にポーカーの配信をしていたんです。その時にしっかりとした内容のポーカーの配信を心がけたことで、そのコンテンツと共に私たちのことを知ってもらえたのだと思います。
青山:またサービスを開始する前に、私が監修して葛谷がnoteに30,000円くらいのポーカーの記事を投稿してみたんです。20人くらい限定で。その反響も良くて、追加で出した分も含めてすぐに完売しました。その時に「いけるかもしれないな」って感じましたね。
葛谷:当時のことを覚えてるんですけど、投稿のボタンを押して、Twitterに宣伝しようとした20秒くらいの間に8冊くらい売れていて、そんなに需要があるんだと驚きました。
ー当時3MPCのようなサイトは他にもあったんでしょうか?
青山:海外ではありましたが、日本ではそこまで本格的なものはなかったと思います。
葛谷:ポーカーの勉強で重要なのは、ポーカーの思考過程を自分の中に取り込むことなんです。海外のサイトは言語が英語なので、どうしても全部をしっかり理解することが難しい。日本人にとっては学習効率が良くないですよね。
青山:3MPCは、私達が初心者の頃に「こういうサイトがあったら良いなぁ」とずっと思っていたことを形にしました。
ー「人に喜ばれることをしたい」という想いがサービス立ち上げのきっかけとのことでしたが、3MPCは当初の目的通りに進んでいると感じていますか?
葛谷:そうですね。今もユーザーの方は増えているし、喜んでもらえていると思います。
青山:応援の言葉や、感謝の言葉をもらえた時は、作って良かったなと思います。会員様から「これから留学の為の勉強をするので退会しますけど、不満があって辞めるのではないです。これからも応援してます」ってメッセージをもらえた時は感動しましたね。
葛谷:普通は、退会の時にサイト側にわざわざ感謝のメッセージを送ることってなかなかないと思うので、考えさせられたと言いますか、ただただ嬉しかったです。
ーそれだけの価値を感じてもらえたってことですものね。
葛谷:そうですね。そういう意味で、当初の目的は達成できたかなと思っています。始めて良かったです。
創設者お二人のバックグランド
ーそもそも、お二人がポーカーを始めたキッカケは何だったのでしょうか?
青山:大学生時代にランニングをしていた時、たまたまカジノバーを発見したんです。1回行って面白そうだなと思って、すぐにそこでアルバイトを始めました。もともと、そういう頭を使うゲームは好きだったので。
葛谷:私も大学近くのポーカーアミューズメント[1]です。ポーカーは本当に面白くて、その時は勘違いしてたかもしれないですけど、自分に向いてるなと感じました。しばらくして大学を辞めて、集中してポーカーに取り組むようになりましたね。
ーポーカーが理由で大学を辞められたんですね。
葛谷:そうなんです。私は音楽やダンスが好きで、当時はライヴとかもしていたんですけど、世界中を旅行してそういうものに触れたいなと思っていたんです。ポーカーで勝てるようになったら世界中のどこでも旅行できますよね。
ー辞めた時点で、ポーカーで食べていけるという確信はあったのでしょうか?
葛谷:いや、今思い返してみると、気が狂っているとしか思えないですね(笑)。
青山:お互いに始めた時はマイナスもマイナスで。
葛谷:でも、「成功するまでやろう」と決意していました。
ーお二人は大学時代からのお知り合いなんでしょうか?
青山:私がアルバイトしていた店とは別にポーカーを出来る店があって、葛谷はそこにいましたね。
葛谷:確か私から話し掛けたんです。青山が当時のテーブルの中でいちばん上手いと感じて色々と話を訊いてみたくなって。
青山:そのときはスキルも全然ないし、ただただ葛谷の勘違いでしたけどね(笑)。
ポーカースキルの向上のために
ーお二人は、今の実力を得るために、どのようなことを意識してきましたか?また、ポーカーが強くなるためには何が必要だと思いますか?
青山:私が意識していることは3つあって、1つは「プレイを重ね、ハンドレビューを愚直に行う」、もう1つは「確かな実力を持つプレイヤーからの知識の吸収」、あとは「独りよがりにならないよう、常に自分を疑うこと」ですね。
葛谷:私は2つかな。「バイアスをなるべくかけないようにする」ことと、「起きている状況をフラットに考える」ことですね。例えばプレイしている最中の「今の自分はブラフ[2]が多いから、そろそろ疑われるかもしれない」といった思考は、自分が勝手に思い込んでいることなので、できるだけ客観的に捉えることが大切です。
その他で言うと、「続けること」だと思います。ずっと頑張り続けなくても良いのですが、ある程度は継続的に時間を取ることが大切ですね。
ーポーカーをしていて今までいちばん嬉しかったこと/大変だったことを教えてください。
青山:ポーカーのスキルが上がっていって収入が増えた時に、人生でいちばん高価な財布を購入したんですね。その時の感情は上手く表現できないのですが、ポーカーの実力が上がった結果として、それを手に入れられるようになったことが本当に嬉しかったですね。
辛かったことは、バンクロール[3]が破産寸前までいった時です。当時はポーカー以外でも色々なことがあって、ポーカーに対する熱量も下がっていた時期でした。ポーカーの仲間が支えてくれたおかげで、そこから立ち直ることができましたが。それは今も本当に感謝しています。
葛谷:私は、ポーカーで食べられるようになった時です。その基準となるようなレート[4]があるのですが、私はそこでずっと停滞していて、勝ち越せるようになった時は本当に嬉しかったですね。あとは、もう1つ挙げるなら、ベラージオ[5]のライブキャッシュ[6]で「10-20-40」[7]のレートに座れた時です。ベラージオのキャッシュゲーム[8]って、そのレートからテーブルの位置が高くなるんですよね。別世界のようなイメージで、ライブキャッシュのひとつの目標です。
辛かったのは、勝ち越せなかった時期ですね。青山は、電光石火と言いますか、独学で勉強してどんどん勝っていったんです。私も同じくらいの熱量だったのに、5年間くらいずっと勝てていなくて、就職しようかと悩んだ時期もありました。
ーどうやってその状況を脱したのでしょうか?
葛谷:青山にコーチングをお願いして打開しました。そのブレイクスルーがあって、結果的に勝ち越すことができるようになりました。そのコーチングを受けたことが、今の実力に繋がったんだと思います。
ー逆に、青山さんは、どうやって順当に実力をつけていったのでしょうか?
青山:当時の私の師匠にあたる人の存在が大きかったですね。私がアルバイトをしてたお店の常連さんだったんですが、かなり真剣にポーカーをやっていた方で、色々なアドバイスをもらいました。今ではツールが発達して、ある程度自分で学習を進めることが出来ますが、当時はそのようなツールはなかったので、自分より上手い人の意見は貴重でした。
葛谷:コーチングを受けることで伸びるので、やはりポーカーはメンターが必要なゲームだと思います。
ーお二人にとってポーカーの魅力とはなんでしょうか?
青山:対人ゲームであり、自分の実力次第で結果が出せること。また一生かけて勉強しても、人間では攻略できないという奥深さが魅力です。他にも楽しめる点も多くて、大会で良い成績を取るとか、ブラフが決まった瞬間であったり、嬉しいことが多いゲームです。
葛谷:色々な人と関われることです。年齢や職業に関わらず、テーブル上で話ができる。あとは、なかなか得ることのない体験ができることです。私はアクシデントがあった方が人生が楽しめると思っていて、そういう景色の変化も魅力ですね。
ー今の日本のポーカー界についてどう感じていますか?また今後はどうなっていくと思いますか?
青山:今後で言うと、野球やサッカーと同じようにリーグみたいなものが発足して、ポーカーがショーとしても楽しまれるようなゲームに発展していくと思います。企業からスポンサードを受けて活躍するプロ、海外へ行って己のスキルだけで稼ぐプロ、もしくはその両方を担うプロが存在するようになるんじゃないかなと。
葛谷:今後どうなっていくかの視点は青山と同じです。今はYouTubeなどでもポーカーが盛り上がっていて嬉しく感じています。
ーお二人の今後の活動について伺えますか?
葛谷:ポーカーとしての面白さをもっと伝えたいです。スポーツを見る楽しさって、そのゲームに精通していれば精通しているほど大きいじゃないですか。そういう部分で、解説などを工夫していきたいですね。
ー最後に、ポーカーが上手くなりたいと思っている方々、興味を持っている方々にメッセージをお願いします。
青山:ポーカーは本当に魅力的なゲームです。「何か楽しいことがないかな」と思った時には、ぜひ体験して欲しいです。3MPCへの参加もお待ちしています。
葛谷:とにかくポーカーを続けて欲しいと思います。1ヶ月に数時間でも考えることを続けたら、だんだんと脳の回路がポーカーに適するようになるんですね。長く楽しく続けて欲しいです。
【3MPC創設のお二人へのインタビュー第二弾「ポーカーが強くなるためのロードマップ」はこちら】
[1] 現金をかけずにポーカーをプレイできる店舗のこと。
[2] 自分の手札が相手よりも弱い可能性が高いときでも強い手札を持っているように主張し、相手をゲームから降ろさせる(フォールドさせる)行為。
[3] ポーカー専用の資金管理のこと。資金に対して相対的にレート(強制的にかける金額)を上げすぎると破産リスクが上がる。
[4] 強制的にかける金額のこと。
[5] アメリカ、ラスベガスにあるカジノホテル。ライブでの最高レートのキャッシュゲームが行われる「ボビーズルーム」が有名。
[6] オンラインではなく、カジノにおいてキャッシュ(現金)をかけてポーカーを行うこと。
[7] 通常ブラインドは2つだが、ライブキャッシュでは3つのブラインドでプレイされることがある。
[8] カジノやオンラインでポーカーを遊ぶこと。キャッシュ(現金)をかけてポーカーを行う。